新年あけまして、おめでとうございます

新年の挨拶くらい、きちんとしたいのよ?














Happy happy new year?












「・・・信じらんない」



1月1日 元旦
只今、時刻は9時をまわったところ
河村先輩んちの店を貸し切っての新年会があるそうで
それが開かれるのが9時半なのです
自転車をこぐ桃城君、その後ろに・・・いつもと違ってすわっているのが越前君
・・・・いえ?
座ってるのではなく、中腰、といった姿勢のようですが?



「悪かったって、越前」

「・・・」

「悪かった、ごめん、越前、越前君、越前様!!」

「・・・」

「いいかげん機嫌直してくれよ〜」

「・・・・の」

「え?」

「どうして新年を迎えるときくらい、我慢っ・・・・・できないの」



そうです、ここは天下の公道
中学生男子が話して良いことと悪いことがございます
越前君はまわりを見て、珍しく下を向いてぼそぼそ、と話しました
それで、桃城君は越前君をかわいい・・と思ったのですがそんなことを言っては後ろから蹴られかねません
大人しく自転車をこぎ続けます



「ゲームして年越すはずだったじゃん。こんな、身体不自由するしさ」

「下にタオルしけって言ったじゃん」

「そんな女みたいなことできるかよっ」

「あー、そうですか・・・・」

「せっかく・・・桃先輩と初めての年越しだったのに」

「だから・・・・記念になったろ?」

「こんなのっ、・・・・記念とか、・・・・」

「・・・・・姫始めは縁起がいいんだぜ?」

「・・・・年越すたびに、思い出すじゃんか・・・・・」

「・・・・」

「どうして・・・・・我慢できないの」

「・・・そりゃあ、おめぇ」

「・・・・なに」

「お前がそんなにかわいいからだろ」

「っっ・・・・ばかばかばか!!」











時間をすこし巻き戻して、午前八時
海堂家は、お雑煮のお出汁の匂いでつつまれていました



「これで、どうするんだ?」

「ええと、そっちに栗きんとん、こっちに黒豆、数の子・・・・あと海老ね」

「わかった。あと、母さん、もう一段つくるのか?」

「ええ、今年はお客さんもいらっしゃるから・・・・」

「そんな、俺らはすぐ河村先輩のところで新年会が・・・・」

「薫はそれでいいかもしれないけど、乾先輩は足りないでしょう?」

「・・・・そうだけど」

「あんなに大きいのだから、いっぱい食べるんでしょうねぇ?」



ピンポーン



「あら、噂をすれば・・・・だわ」



母が行こうとするのを海堂君はひきとめ、自分がいくから、と玄関に走っていきます
ほんとうに先輩が好きなのね、と何の疑いもなくそんな息子を見る母と
応接間でそんな兄をそんなに先輩が好きなんだなぁ、となにもかも知ったうえで思う弟と
弟の隣で新聞を見ながら今日も我が家は平和だなぁ、と思う父


あいかわらず、海堂家は平和です



「あけましておめでとう、海堂」

「あ・・・・あけまして、おめでとうございまス・・・・」

「いい匂いだね」

「えっ」

「お雑煮の・・・お出汁かな。鰹節?」

「あ・・・出汁・・・はい、鰹節ッス」

「はは、海堂、女の人のエプロンつけてる」

「母さんのお古だよっ」



あはははは、と乾先輩は海堂君の頭を撫でながら家に上がります
お邪魔します、と言えばいらっしゃい、と母と父の声
葉末君は乾先輩の腰に抱きついて、明るい笑顔で言いました



「あけましておめでとうございますっ」

「ああ、おめでとう。海堂と一緒、元気そうでなにより」

「いいえ、乾さん、ちがいます」

「ん?」

「お兄ちゃん、ずっとそわそわしてるんです。12時まで起きていたんですけど、あけましておめでとう、て言うときになっていきなりランニングに行ってしまうし。帰ってきたら帰ってきたで、母さんの手伝いをする、なんて言い出すし」

「葉末っ・・・・・」

「ああ、そうなんだ。海堂、どっかに行ってたの?」

「っ・・・・」

「あらぁ、薫、ランニングなんて聞いてないわ?」

「こらこら母さん、薫にだって秘密の一つや二つあるさ」

「っ・・・・」



涙目になって、真っ赤になった海堂君は走って二階の自分の部屋まで走っていってしまいました
それを乾くんは微笑んで、残された三人にこう言います



「そういえば、海堂にこないだの全米テニスのゲームを見せてもらうことになってたんです・・・・何分くらい、時間よろしいですか?」

「あとちょっと。20分くらいかしら」

「では、それまで観戦してます」

「乾君、今年も息子をよろしくね」

「・・・・はい、こちらこそ」



コンコン カチャ



「・・・・海堂」

「・・・・・・・」

「そんな、ベッドにつっぷしてないで」

「・・・・・ばか、やろ」

「・・・・・ごめんってば。君と会ってたのは俺だし、呼び出したのも俺です」

「ならっ・・・・なら、なんで」

「言えるかい?新年早々大事な長男を自分ちに呼び出して口では言えないことをしてたなんて・・・・」

「・・・・あれはっ、あんたが、家に誰もいないから淋しいって・・・・」

「うん、そう。でも、俺は海堂といられないから淋しいって言ったよ」

「・・・・卑怯、者」

「・・・・・それぐらい、君のこと独占したいの・・・・新年早々から、ね」

「・・・・・スケベ」

「はいはい」

「色情魔、万年発情男、このタラシ・・・・去年はあんたがそんな人だったなんて知らなかった」

「去年一年で、海堂はずいぶん可愛くなったね」

「そんなこと言うのは・・・・あんたくらいだ」

「うん、俺だけでいいよ」










あなたはHappy new year?










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