一年の、一番始めのご挨拶


あなたは、いったい誰にする?















Happy happy new year













「あ、5分前。若、若」

「滝さん?」




ここは日吉の道場
日吉の家からは死角となる扉の入り口
二人は並んでそろいのカップを手にすわっている
空を見上げていた日吉は、さきほどから時計に夢中になっている恋人を見た




「今年のことを話そう!」

「今年・・・ですか?もう終わりなのに?」

「もうっ、終わりだから話すの。あと5分だから、急いでね?」

「今年ですか・・・・氷帝が特別枠で全国に行けたこと」

「それと?」

「宍戸先輩が意外と押しに弱いことが鳳によって証明されたこと」

「あはは、それと?」

「跡部先輩が滝先輩に嫉妬したこと。忍足先輩が、ただ修学旅行の写真で肩抱いただけなのに」

「たしか・・・あれって、若も怒ったよね?」

「・・・夏の合宿」

「うん、あれ、楽しかったね。みんな、部屋決めちゃんとしてるのに譲ったり脅したりすごんだり・・・・ふふふ」

「俺と滝さんは最初から同室でしたよね」

「そりゃあ、準レギュラーは2人部屋だもの。それ以外は4人部屋だったよね」

「あとは・・・・・準レギュラーになれたことですかね」

「・・・・・それだけ?」

「・・・・・はは」

「もう、なに笑ってるの?」

「くくく、わかってますよ」

「・・・?」

「今年一番の出来事は・・・・あんたが俺の恋人になってくれたことですよ」










「あと2分・・・・か。今年も家族と新年を迎える・・・・のか」

(ったく、忍足のやつ・・・・母親に実家に呼ばれただと?ははん、わかってるさ、俺はどうせ家族には勝てるわけないだろう)

「・・・・・・どうせ・・・・・・家族に、なんて」




ガチャ




「いやー、今年もあと2分。早いなぁ。これやったら、あっちゅう間にオッサンや」

「・・・・お・・・・・したり?」

「おお、なんやなんや?愛しいダーリンの顔、わからへんのか?」

「な、なんで・・・・」

(大阪に帰ったはずじゃ)

「飛行機、今日の1便目にしたんや。大切な子ぉと新年は迎えたい思うてな」

「・・・・・な・・・・なんだ、それ」

「あーあ、目ぇ真っ赤やんか。綺麗なお顔が台無し・・・・いや、かわええけどな」

「ばか、あほ、サド野郎」

「学年一位にむかってばかとあほとはなんや。最後は認めるけどな」

「おれ、来ないって聞いてたから・・・・・くそっ、見るな」

「見る。なぁ、景吾、こっち向いてや。俺、景吾欠乏症やから、かわええ顔見せたって?」

「・・・・昨日も、会った」

「ああ、1秒でも離れとったらあかんねん・・・・・わかるやろ?」

「・・・・・」

「なぁ、上向いてや?景吾・・・・・・」

「朝、までなのか」

「・・・・おん。朝まで、ここにおれる」

「まだ、時間はあるが・・・・・中途半端だぞ」

「・・・・・そんなん、ちょぉっと仲よぉしとったらすぐ過ぎる」








「あと、20秒!宍戸さん、早く早くっ」

「んだよ長太郎、除夜の鐘鳴らすの、そんなに楽しみなのか?」

「ええ、神社とか、お寺とかいうものとは疎遠ですからね」

「あんま人来てねぇな・・・・・カトリックが来ていいのか?」

「はい。こちらの文化も、すばらしいと思いますし・・・・あ、あっち行きましょう」

「鐘は余裕そうだしな・・・・十字架が泣くぞ」

「信心は変わりませんから。ああっ、あと10秒ですよ。俺、数えますね」

「はー、今年も終わりか・・・・」

「9」

「今年、いろいろあったな・・・・」

「8・・・そうですね」

「お前はレギュラーになったし」

「7・・・ええ」

「ノーコンもちったあマシになってきたし」

「6」

「俺は、レギュラーから外れて」

「5」

「お前と、特訓して・・・・」
「4」

「お前が、俺に好きって言って・・・・・」

「3」

「嬉しかった」

「2・・・・」

「お前に会えた。嬉しくて泣いたのは、そのことが初めてだ」

「1・・・・」

「長太郎」

「ぜ・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・っは、ぁ・・・・・」

「・・・・・宍戸さん」

「・・・・ん?なに、長太郎」

「・・・・・愛して、いますよ」

「・・・・ばーか・・・・・俺も、だよ」














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